○泉(房)委員 民主党の泉房穂です。
・・・中略・・・
しかしながら、今回のこの不動産登記法につきましては、果たしてこの国会で急いで通す必要があるのかということについて率直に疑問を感じております。
きょう一時間質問させていただきますので、その疑問の解消ができればいいのですけれども、そうでない場合は、改めて検討された方がいいのかなというような心持ちできょうは質問に臨むということを前もってお伝えした上で質問させていただきます。
今回の不動産登記法なんですが、お配りしているように、概要を見ましても、ポイントは、オンライン化に伴いまして、国民の利便性の向上、そして登記の正確性、登記の真実性と言ってもいいと思いますが、この二点についてどのような影響があるのか。
そしてまた、この分野において一番主要な役割を占める司法書士さん、土地家屋調査士さんももちろん関係しますけれども、司法書士さんなどにおいて、どういった役割の変化があるのかというあたりの三点が非常に重要なポイントであろうと思います。
まずもって、今回の改正案につきまして、オンライン化とは直接関係ない部分、例えば現代語化した部分については当然賛成であります。
こんなことは遅過ぎたと思います。
当たり前だと思います。
また、もとの住所のところに通知をする変更であるとか、また、登記の原因、つまり、もともと売買があったか、相続があったかということをきっちりと確認するようなことをするということも、もちろん当然必要であります。
そういった点については、全面的に賛成するものであります。
問題はそこではなくて、果たしてこの時期にこういった枠組みでオンライン化をする必要があるのか、そのオンライン化によって本当に国民の利便性が高まるのか、また、オンライン化によって、真実性、つまり、その登記が本当に真実の登記であるということがより確保されるのかというポイントであります。その点、順次質問させていただきます。
まずもって、このオンライン化についてですが、批判の中では、今回のオンライン化は、まさにオンライン化するためのオンライン化にすぎないのではないか、本当に国民の利便性や真実性の確保ということを考えたオンライン化ではないのではないかというような批判も聞いておりますが、この点、大臣に、今回のオンライン化が一体何のためにオンライン化するのかということをまず明確にしていただきたい。そして、その際、国民にとってどういうメリットがあるのかという見地から、お答えのほどお願いいたします。
オンライン申請の導入によりまして、申請人は、登記所に出頭することなく、いつでも、自宅や事務所にいながら迅速に登記の申請をすることが可能になるわけでございます。
また、オンラインの申請では、パソコン上で作成したデータをそのまま送信することにより申請をすることができるので、データをわざわざプリントアウトする手間やコストを省くこともできるわけでございます。
このように、オンライン申請の導入は、国民が登記制度を利用する上での利便性を高めるものであると考えておりまして、あくまで国民の皆様の便利のためにこれをやるんだ、いわゆるIT化のためのIT化ではございませんということでございます。
それに見合うだけの利便性の向上が本当にあるのかという見地で見たときに、今おっしゃったように二十四時間申請できるのは当たり前です、オンライン化するんですから。
また、直接行かなくてもいいのも当たり前のことであります。
しかしながら、現実的に、今の登記申請実務を見ますと、ほとんどが司法書士さんが担っております。
とすると、司法書士さんが行かなくていいという点は、確かにそれは理解できます。
でも、それが果たして国民にとってどういう利益なのかといったときに、実際の現実を見ますと、ほとんどの登記実務を司法書士さんに依頼しているわけです。
その結果、簡単なと言ったら失礼ですが、登記について、登録免許税以外に、司法書士さんにやはり十万なり二十万なりの費用を負担してお願いしている現状であります。
そういった見地からして、では、果たして国民の負担が経済的に軽くなるのか、また、国民自身がみずから、わかりやすく、登記の今回の変更に伴って、自分でできるようになるのかといったときに、ほとんど変更がないのではなかろうか。
とすると、司法書士さんは楽になるけれども、国民は果たしてどの程度利便性が向上するのかについては甚だ疑問に思っておりますので、この点、繰り返し、どういった具体的なメリットがあるのか、利便性の見地からお答えください。
現行制度上も司法書士に依頼することを強制してはおりませんし、新たな制度のもとにおいても、登記申請の際に司法書士を頼むかどうかについては、当事者がそのメリット等を考慮の上選択される問題であろうと考えております。個人個人に見ると余りそのチャンスが多くはありませんから、やはりこれは、今までどおり司法書士さんのガイドがないとなかなかできないでございましょうし、また、法人等で一括して扱うような場合には、もう司法書士さんのお世話にならなくてもできるということではございますが、しかし、その上でも、念には念を入れまして、司法書士さんの能力を活用する道はこれからもまた開けていくだろうと思っております。
・・・真実性確保については省略・・・
○泉(房)委員 大臣からの答弁を踏まえまして、利便性、そして真実性について、具体的に質問の方に入っていきたいと思います。
私の理解ですと、今回のオンライン化によって、利便性が高まる、国民のサイドからいって具体的に考えると、本人申請、実際、統計を見ましたら、ほとんど九五%が代理人申請で、五%程度本人があるように思えても、裁判所からの職権とかありますから、ほとんどが司法書士さんが関与しているという現状からしますと、本当に限られた本人申請の方が、確かに二十四時間パソコンに向かってできるというような場面、そして司法書士さんに依頼する場合は、司法書士さんが直接出向かなくていい分、日当とか交通費の部分が少し助かるので、その分、本人の払う金額が減るというぐらいのことは私も理解はできます。
でも、その程度で果たして、今回のオンライン化に伴う費用との関係でいったときに、その程度で利便性の向上と言えるかについては非常に疑問に思っております。
私自身も弁護士をしておりまして、オンライン化といいますか、パソコンの導入の流れの中で、恐らく将来的には、そういったパソコンの普及が進めば、登記については司法書士さんを頼まなくても自分でできる場面もふえるのだろうなとか、また税理士さんの業務についても、例えば相続税の支払いなども、そういった形でかなり本人の部分でできるようになってくれば、かなり本人の経済的負担も助かるのかなという思いを持って、この間、こういった動きを見てきました。しかしながら、今回の法改正によって果たして本人申請の数がふえるかについては、本当に説明がありません。
そこで、まず、現状の認識から問いたいと思います。現在の本人申請の割合をどのように見るのか、少ないと見るのか妥当と見るのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、森岡委員長代理着席〕
この数字が多いと見るのか少ないと見るのかということでございますが、これはいずれにいたしましても、申請をする当事者の方が、費用を払ってそういう資格者代理人を使われるのか、あるいはみずから申請をするのかということを選択された結果であろうと思っておりますので、私どもとして、特にこれが多いとか少ないとかということを申し上げる立場ではないのではないかと思っております。
せっかくオンライン化するわけですから、本人申請がすべてだと言いません、できる部分、もっとあろうと思います。具体的な住所変更、引っ越ししたから住所をやはりきっちり変えておきたいといった場面、抵当権の抹消で、銀行の支払いが終わって、銀行からしっかりとしたそういった証明書がある場合などは、自分で当然できると考えるのが通常の私の理解だと思うんです。
ただ、現状は、先ほど選択とおっしゃいましたが、現実は、選択をしているわけではなくて、登記については司法書士さんに頼むんだという一般的な国民の理解のもとに自動的にお願いしているという現状がある。そこについて、せっかくオンライン化するんですから、自分でできる場面については、一定程度自分でできるようにしていくというような目標設定は要るのではなかろうかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
ですから、現状におきましても、各登記所の窓口には申請書の様式を幾つも用意いたしまして、それを利用して御自分でしていただく、それについて必要な知識については登記相談員等を配置いたしましてその相談に応ずる、こういう体制をとっております。
今後、オンライン化をする場合ですが、これはまさに、オンラインのメリットを生かしまして、まず、申請ソフトを無料でダウンロードできるようにいたします。それと同時に、各申請書の様式をこれまたダウンロードできるように準備いたしまして、御指摘のような、特に比較的簡単な、抵当権の抹消であるとか本人の表示の変更であるとかそういったものは、ダウンロードした申請書様式に必要な事項を記載して、ダウンロードしたソフトを使って申請をするということが可能なようにしていきたい、こう思っております。
私どもとして、国民の方々がみずからそういった形で登記をするということについて、登記所としてできる限りの配慮をするということは従来からやってきておりますし、今後もそういう努力は続けたい、こう思っております。
考えてみて選択して、自分でやるか司法書士さんに頼むかを考えて選んでいるわけではなくて、本当に自分でやっているというのは極めて限定的な場面なわけであります。
今回のオンライン化によって、今のお答えだと、データの申請書類をダウンロードできるなんてぐらいだと、本当に寂しい話だと思うわけです。
パソコンの画面を見て、その指示に従ってクリックしていくことによって、ある一定分野の登記申請については本人部分が主流になっていくというぐらいの目標設定をしないと、お金のない時代に税金を使ってわざわざオンライン化するわけですから、それぐらいの国民の利便性の向上ぐらいはやはり高い理想として目標に掲げるべきではなかろうかと思います。
この点、具体的に、では、今回のオンライン化によってどの程度本人申請の割合が高まるのか。一般的な形でも結構ですし、特定の分野、例えば、住所変更の場面、抵当権抹消の場面、それからあとは相続の場合でそれほど争いのないような、親御さんが亡くなって兄弟のうちどちらかが相続するなどの場合はかなり本人申請が可能だろうと私は思っております。どの程度の目標設定をされているのか、されていないのであれば、どうしてそういう目標設定をしないのか、お答えください。
ただ、相当複雑なものになりますと、これはなかなか国民の一般の方々は、幾ら申請書様式をダウンロードしても適切な申請書を作成するのは難しいかと思いますが、先ほどから申し上げますような抵当権の抹消であるとか登記名義人の表示の変更であるとか、そういったものについては、様式に記入するだけで十分申請が可能になるのではないかと思っておりますので、ある程度は本人申請がオンラインでふえていくのではないか、こう思っております。
ただ、オンラインの申請を利用するためには、当然のことながら、自宅にパソコンがある、あるいは事務所にパソコンがあって、しかもそれを使える、こういうことが前提になりますし、また個人認証の普及ぐあいというようなものにも影響を受けますので、現段階でどの程度ふえるかというのは、私どもとしてはなかなか予測は難しい、こう思っております。
ただ、そういった働きかけをするということと、使いやすいソフトを開発することによりまして、できるだけ国民の方々がみずからそういう登記申請が可能になるような状況はつくっていきたい、こう思っております。
訴状であるとか答弁書であるとか、よくわからぬ言葉が使われて、一般の方が裁判をしようと思ってもなかなかできません。
一般的な裁判をするんだったら、弁護士を頼むというような国民の理解が一般的かなと思います。
しかしながら、本当のところは裁判なんてものは難しいものではなくて、例えば、お金を百万、二百万貸したけれども返してくれないという裁判自体に弁護士が必要かといったら、本当は要らないと私は思います。
百万貸した、二百万貸したのは、借用証書があって、それを裁判所に持っていけばそこで裁判をしてもらえて、返したか返していないかの事実がある程度明らかになれば、自分でできる場面もあるかと思うんです。
何が問題かというと、何か難しいかのようなイメージが一般的な国民の認識になっていることが問題だと思うんです。
これは、この登記の場面でも同じでありまして、登記が難しいとは思いません。
自分自身がどの建物や土地を持っているかということがちゃんとはっきりしていて、それを証明できて、それをだれに売るのか、またはどの銀行に抵当権を設定するのか、そういったことがはっきりすればそれでできる話でありまして、別に難しい話なのではないと思います。
それが難しいイメージを持たれてしまっているのは、申請書類の形式がまだわかりやすいものになっていないであるとか、やはり司法書士さんの果たしているこれまでの、ある意味積極的な役割は後で申し上げますが、そういった中で、何となく難しくて、こういった分野は代理人に頼まなきゃいけないということなのかなと思うのが正直であります。
とした場合、本当はオンライン化によって手続部分についてはかなりの部分クリアできて、本人申請ができるのではなかろうかと私は考えています。
それとは別の真実性の確保の部分について、司法書士さんが担われてきた役割は私は大変高く評価しますし、そこの部分をどう考えるかの問題はあると思います。
ただ、少なくても申請手続の部分につきましては、オンライン化によって随分進むはずだと思います。
この点、少なくても今回のオンライン化によって本人申請の割合が飛躍的に伸びることぐらいは、やはり税金を使う以上は国民に約束すべきだと思いますが、この点、改めてお答えをお願いします。
これを、ともかく登記は迅速に、原則として即日処理ということが原則でございますので、迅速に、しかも全国均一の処理ができるようになるということが国民から要請されているわけでございます。
そういうことから、どういう法律関係にはどういう登記をする、どういう登記をするときにはどのような添付書類が必要である、こういうことが全国どこでも確実に判断できるように、非常に詳細に決まっております。
そういうことから、国民の方々がある行為をしたときに、それを登記面に反映するためにどの登記を選択して、その登記を申請するにはどういう書類が必要である、こういうことをやはり調べていただかなければならない。
そういうことから、登記が難しいという意識を持たれているのではないかと思います。
もちろん、先ほどから申し上げておりますように、書式集を用意するとか登記相談を用意するというようなことで、できるだけ使いやすくしているつもりでございますし、オンラインの場合には、そういった書式集について、紙で備えるとなるとどうしてもスペースの関係がありますが、コンピューターでの検索ということであれば相当多くのものが用意できますので、また解説もつけられますし、そういう意味で、従来に比べて大分使いやすくなる、こうは思っております。
ただ、本質的に、オンライン化するというのは、従来紙でやっていたものをオンラインでできるということがオンライン化の中心でございますので、従来紙のベースで非常に難しかったものが、オンラインにしたら途端に容易になるということではないであろうと思っています。
ただ、オンラインの場合には、先ほど申し上げましたようなスペースの確保というような制約がなくなりますので、多くの様式を用意し、あるいは解説をつけるということで、少しでも国民の方々にわかりやすくするということは、これは相当やりやすくなるだろうと思っています。
ですから、オンライン化をした場合には、そういうことを利用していただいて本人申請がふえるのではないか、こう思っているわけでございますが、先ほど申し上げたように、オンラインにしたから登記手続そのものが抜本的に変わるということではございませんので、そういった意味では、先ほど申し上げたような大量の事件を、しかも法律関係に従って適正に処理する、そういう登記手続の要請にこたえるためのある程度の分類というのはどうしても必要でございますので、その点はまだ残ろうかと思います。
ただ、それをできるだけわかりやすくして、少しでも利用を促進するということを考えているわけでございます。
私はこの家に住んでいます。
この家は私のものです。
でも、今回売ります。
だれに売ります。
ここに売買契約書があります。
それを持っていけば、手続ができれば望ましいわけです。
相続です。
お父さんが亡くなりました。
お母さんは既に亡くなっています。
子供は私だけです。
だったら、それで戸籍謄本と除籍謄本を持っていって、不動産登記簿謄本を持っていけば法務局の方で受け付けて、そこで変更ができるようになれば望ましいという価値判断は間違っていないと私は確信しています。
しかしながら、これまでの長年の慣習、慣行の中で、具体的に言いますが、司法書士さんの果たしてきた役割というのは、単に手続の代行というよりも、実際の登記変更の原因のもととなった、本当に売買があるのだろうかとか、本当に相続が真の相続なのかとか、そういった本当は真実性の担保のところに司法書士さんの役割はかなり現実的な機能としては大きかったんだと思います。
そこは私もそう思うんです。
そこの部分は、別途それはその問題としてあるとしても、ただ、代行手続の部分については、オンライン化によって一気に飛躍的に解決できる部分もあるわけですから、何か、オンラインにするためのオンラインではなくて、オンライン化することによってそこの部分を一気に利便性を高めるというぐらいの発想は欲しいと思います。
もしそうでないのであれば、この法案の概要の一番趣旨のところにうたっている「国民の利便性」というのは一体何なのかと。司法書士さんに払うお金が日当分、ちょっと一万、二万安くなるというような程度の利便性でわざわざ大枚な金を使ってオンライン化するのかというと、本当に寂しい話ではありませんか。
それのためにこんなに急ぐ必要があるのかというふうに疑問も感じますが、その点、改めてお答えください。
確かに、御指摘のように、御本人で申請されている方々は比較的少ないわけでございますが、それでも千七百万の五%といえば相当の数になるわけでございますし、また、司法書士の方々がオンラインを使う場合にも、当然のことながら、司法書士の方々の負担の軽減は、それを利用する国民の方々の負担の軽減に結局はつながっていくわけです。
それは、個々の人にとっては大した額ではないかもしれませんが、何せ登記件数というのは非常にたくさんあるわけでございますから、それを全体として見れば、国民経済としては相当の国民の負担の軽減につながるのではないか、こう思っているわけでございます。
いずれにしても、私どもとしては、このオンライン化をきっかけにできるだけ国民に使いやすい登記にして、希望すれば御本人で登記ができるような仕組みを今後も努力をして開発していきたい、こう思っています。
・・・登記識別情報のセキュリティについて、興味深い議論ではあるが省略する・・・
運用面で図れる部分、私、これは賛成はいたしかねますが、この結果、かえって不正がふえてしまったり現場が混乱したんでは、本当に何のためのことかわからないということは、もう強く強くお伝えしたいと思います。
そしてまた、もう一点、司法書士さんの役割についてであります。
ここも、私も悩ましい問題だと思うんです。司法書士さんのこれまでの役割を見たときに、実際の登記手続の単なる代行手続自体は、本当は、実際のところ、きょう申し上げました、難しい話ではほんまはありません。
ただ、司法書士さんが実際のところ、本人確認の場面であるとか、登記の原因となった相続や売買が本当にあったかとか、そこに、売買決済の場面に立ち会ったりして、非常に重要な機能を果たしておられる、それはそのとおりだと思います。
ところが、その場面が、今回のオンライン化によってやはり影響を受けるだろうと思います。
もし本人申請の数がふえれば、司法書士さんの、わかりやすく言えば事件数も減るという面もあります。
そうしたときに、やはり、司法書士さんの業務のあり方、司法書士さんの生活に占める登記実務の比率の部分へも影響を与える。
そうであれば、本来であれば、司法書士さんというものについての役割の分析、認識、そしてあり方についての幅広い検討。
具体的には、例えば司法書士さんが、登記実務のみならず、もっと多分野の、最近では簡裁代理権とか成年後見の分野でも活躍しておられます。
そういった多方面の活躍の場を提供する中で、司法書士さんに安定的な生活基盤の提供と活躍の場を提供する中で、登記分野については、ある意味、本人申請の比率を高めていく、本当はそういったトータルな仕組みづくりをすべきではないか。
そうじゃなかったら、ある面、司法書士さんに対しては、いやいや、何も変わりませんと言いながらある面は本人申請がふえるというのは、これはちょっとうそであって、どっちかなんであって、本人申請が大幅にふえて国民の利便性が高まれば、その分、司法書士さんの業務については減少という事実があるわけです。
それについてどういう手当てをするのか考えるべきであります。
そうじゃなくて、全然変わりませんというんだったら、まさに本人申請がふえないということになりかねません。
どちらに転ぶにしても、やはり、もっとトータルな検討が必要ではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
実は、かつて、法務省の民事局で勤務している参事官の方が勉強のためにみずから登記申請をしたところ、相当附せんがついて補正をされてしまったという話がございますが、相当程度に法律知識があっても、やはり、申請書をきちんと書いて、間違いのない登記申請をするというのはなかなか難しいことでございます。
そういうことから、やはり、登記の中には専門家を利用するというものが当然残るだろうと思いますし、また、単に書類の作成だけではなくて、そういう取引全般を通じて司法書士の方々の専門知識を活用しているという面が、多分、依頼の中には相当あるんだろうと思います。そういうものは、本人申請が幾ら便利になったとしても、やはり司法書士の方々を使うだろうと思います。
そういう意味で、登記について司法書士の方々が大きな役割を果たすということ自体は、実際の率は多少動くかもしれませんが、そういうこと自体は今後も続くのではないか。
ただ、それと同時に、簡裁の代理権であるとか、その他いろいろな新しい法律問題が生じておりますので、そういった分野で、司法書士の方々が、国民に最も身近な法律家として今後活躍の分野を広げその比重を高めていくということは、これは大いにあり得ることではないか、こう思っておりますので、私どもとしても、そういった方向に協力をしていきたい、こう思っております。
○泉(房)委員 今の答えは、答えのようでなっていないと思うんです。
私も、司法書士さんは登記において一定の役割を占めるのは当たり前です。
その分野がやはり類型化されて、複雑な分野とか、しっかりせなあかん分野は当然そうです。
ただ、今のように九五%を司法書士さんの状況から、本人申請がふえてくればその部分、業務も減るじゃないか、だったら、司法書士さんについてやはり何らかの手当てをするなり、司法書士さんももっともっと活躍する場面もあるので、そこもトータルに考えたらどうですかと質問しているわけですから、重要な場面もありますと、そんなの当たり前であって、そうではなくて、司法書士さんにもっと誇りを持って仕事をしてもらえるような役割を課すんであれば、他分野の活躍ないしは今回の登記についても司法書士さんに期待するんであれば、本人申請と並列せずに、すべからく司法書士さんを関与させ、そこに真実性の担保もかませるとか、そういった仕組みを、役割をきっちり司法書士さんに保障するという枠組みであれば一つの価値判断です。
こんな中途半端な状況でオンライン化を進めるというのは、私は、司法書士さんに対しても失礼だと思います。
最後になりましたが、きょうにつきましては、まとめますが、国民の利便性についてもはっきりわからぬ、真実性の担保だってどうなるかわからぬ、こんな状況で急いで導入してほんまに責任を持てるのか、やってみたらどうなるかわからぬという面があれば、少なくても運用面で一定期間の後の状況を見ての見直し等ぐらいはやはり考えないと、これで法を通して終わりでは、ちょっと政治家として一般のおっちゃん、おばちゃんについて責任を持ち切れぬのじゃないかと思いますが、最後に大臣、そのあたりの御認識をお述べください。