S53/06/16 参議院 法務委員会



宮崎正義君


vs


法務省民事局長  香川 保一君





宮崎正義君 昨日ちょっと一つばかり質問を漏らしたものがございますので、司法書士法の一部を改正する法律案につきまして、第3条の2号の裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が10年以上――現行法は5年ということになっておりますが、いわゆるこの特認の認可の件につきましてでありますが、きのうも局長の方から御答弁がございました。


大体20年というようなお話がございましたけれども、現行法の場合のときには私は15年ぐらいというふうに聞いておったわけですが、いかがでしょうか。



政府委員(香川保一君) 原則は20年前後でございまして、例外的に167年というのがございますけれども、原則はきのう申し上げましたとおり20年を大体基準にいたしております。



宮崎正義君 これは基準というんですか、いま御答弁が基準というようなお話がありましたけれども、内規みたいな何かあるんですか、それを伺っておきます。



政府委員(香川保一君) まあ形式は現行法におきましては各法務局長、地方法務局長の権限でございますので、それぞれの権限者が独自にそういうことを決めるべき性質のことかもしれませんが、やはり全国的に均衡をとらなきゃいけないということで、各法務局単位、ブロックごとに横の連携をとりながら一応の基準を決めておる、それが大体20年を原則にしておる、こういうことでございます。



宮崎正義君 いま局長の御答弁だと、20年ぐらいを基準にしているというお話でございましたね。


ところが、15年ぐらいの方が大分多いのじゃございませんか。それで、現行法が5年で今度の改正法案が10年になったと、そういう基準のようなものがあるとすれば、何も変えることもないのじゃないか。


また、5年のいままでの現行法だと15年ぐらいから考えていた、今度は10年となったら20年ぐらいを基準にしていくという算数的な考え方でいっているのか、本当にしっかりしたものがあるのかどうなのかということでお伺いしているわけです。


そうしますと、いま御答弁がありました内容がどうもちょっとわかりかねるのですが、第5条の毎年1回以上の試験になっている、その「以上」という意味なんかもちょっとわからないのですが、どういうふうなことなんでしょうか。



政府委員(香川保一君) まあ実際はこれからの運用といたしまして毎年1回ということに原則的にはなろうかと思いますけれども、法律で年1回に限るということにする理由もございませんので、1回以上ということになっておるわけですが、ただ、実際問題としまして、たとえばある年の前半ぐらいに試験を受けたいという人が1万名を超すというふうなことになってまいりますと、それをさらに半年待たすというのもいかがなものかと、そういうふうなこともございますので、場合によっては受験申請者の数等も考えてそれは2回やらなきゃならぬというふうな事態もあるかもしれませんが、大体のところは、すでに現行法のもとで事実上やっております統一試験の実際から申しますと、年1回で十分ではなかろうかというふうに考えております。



宮崎正義君 いずれにしましても随時選考という例外的な形になってくるということで、これは将来やはり補助者等の問題等も含めて御考慮を願っていくようにしなければならない問題だと思いましたのできょうまた改めて質問をしたわけです。


将来にわたっての考え方というものをもう一度聞かしていただきまして、私は質問を終わります。



政府委員(香川保一君) 先ほど御答弁申し上げましたのは、現行法での各ブロックごとの基準でございまして、まあそれはそれなりの理由もあると思いますけれども、今度は法務大臣の行う国家試験が原則になり、あわせて法務大臣の認定による特認という形になるわけでございます。


私どもとしては、御趣旨も十分踏まえて、果たして20年というふうな基準を法務大臣の認定の基準として設けるのがいいかどうか、その辺のところは十分再検討したいと、かように考えております。



宮崎正義君 私、終わります。





ここで橋本敦君の質問が入る。


本人は「法案に賛成」の立場から「若干の質問」をしたと述べているが、どうみても「司法書士業界をヨイショ」しつつ「台本どおりの意見交換」をしているだけなので、橋本君部分はバッサリ切っておく。


特認制度にも触れてない。


興味があれば、元ネタ参照。



続いて、円山雅也君。


橋本君と違って、ちょっと攻撃的でおもしろいんだけど、軽いパンチくらいで後が続かない。


特認部分だけ、どーぞ。





円山雅也君 その問題はこの程度にいたしまして、次に特認制度についてお聞きをいたします。


 きのうの民事局長のお答えでは、特認対象者だから当然なるわけじゃなくて、法務大臣が別途に試験をしてそれでもって入れるのだという御回答でございました。


そうすると、この法務大臣の行う別途な試験と、それから一般が受ける普通の国家試験と比べまして、たとえば、難易とか、科目の多少とか、相当な差異があるのでございますか。



政府委員(香川保一君) これはおのずから差異が出てくるというふうに考えておるわけであります。


たとえばこれは法務局の職員を例にとって申し上げますと、任官してから登記いちずにずっと来たという職員がおるといたします。


そうすると、どこどこの出張所長をやり、あるいは登記課長をやったというふうな人を考えますと、これはまあ登記は一人前以上の能力を持っておるわけでございます。


しかし、その人は実は訴訟の関係というようなことは何もやったわけじゃありませんから、一つの教養としてそういうものは関連して知ってはおるでしょうけれども、そういう職歴からだけではそういった知識があるとはなかなか客観的には認定しにくい。


そういうときに訴訟法の――民事訴訟法なら民事訴訟法なり、あるいは刑事訴訟法の問題を認定の資料として試験をするというふうなことが一つの例として考えられるわけでございます。


そういった意味で、法務大臣が認定するに当たってのいわば試験というものは一般の国家試験とは内容もそれは違うのは当然のことだろうと、こういうふうに考えております。



円山雅也君 そうしますと、結局、その差が出るのは、特認の対象者がそれまでの職業上の知識とか体験とかいうものがプラスになっているから、だからそのプラス分を引いた残りについての分を試験すればいいというふうになるのでしょうか。



政府委員(香川保一君) まあわかりやすく言えばそういうことだと思いますけれども、これはやっぱり経歴やいろいろの人がございますので、いま任官してから登記いちずに来た人の例をとりましたけれども、そういう人はそうたくさんいるわけじゃございませんので、いろいろそのケースによって認定試験というものがおのずから差が出てくるだろうというふうに考えております。



円山雅也君 ちょっと大変意地悪な質問なんですけれども、そうなりますと、つまり、一般国家試験に比較して不足分、つまり従来の経験はプラスとして残して、この不足分を補う特別な試験だということになれば、結局このプラス分は持っている方が対象になるはずなんだから、だから特認者の方も一般の国家試験を受ければその分は通過するんだから、あとの分だけの審査の対象になるんで、一般の国家試験を受けさせればいいのじゃないでしょうかね。



政府委員(香川保一君) きわめて何といいますか自信のある、男らしく物を言えば、そういうことになるのかもしれません。


しかし、こういう制度というのは、私はやっぱり目に見えないそれなりのプラスが非常にあるだろうと思うのであります。


だからこそ、各業法におきましても、これは何も自分の方の職員がかわいいとかそういうこととは違って、どちらかといいますと、やはり登記の関係の仕事をされる司法書士というのはその仕事ぶりというのは非常に登記行政に影響があるわけでございまして、現在、御承知のとおり、登記所は職員も少ないというふうなことでみんな苦労してやっておるわけでございますけれども、その面がより苦労するか若干でも緩和されるかということは司法書士の仕事ぶりによって非常に違ってくるわけでございまして、そういう意味から申しますと、どちらかと言えば、そういう本当の登記実務を中で経験した人がむしろ登記の方の外側の仕事を主にしてやるというふうな、まあ国家試験を合格した者が原則ではなくて、そういう経験と実務の知識を持っておる人がむしろ原則的に司法書士になっていただく方が制度としては私は実質的にいいだろうと思うのです。


しかし、たてまえといたしまして、それはかっこうがちょっとつかぬということになるかと思いまして、こういう国家試験を1号に掲げ、2号で特認の制度を置いているということでございまして、私は、制度の運用を、単なる観念論でなしに、実質どういう形にするのが全体として国民のためになるかという観点から申しますと、やはり特認の制度というのはぜひ必要な制度だろうというふうに考えております。