S56/06/03 衆議院 法務委員会
中島一郎君(民事局長)
木村仁君(自治省財政局指導課長)
○横山委員 最後に、農用地利用増進法が昨年通過をいたしまして、それによる政令が施行されました。
それによりますと、地方自治体が嘱託登記をすべき細目の条文が決められておるわけであります。
これによりますと、率直に言えば、司法書士はこれらの仕事が農業委員会なりあるいは地方自治体に全部取られてしまうのじゃないかという危惧の念を持っております。
それからもう一つの側面は、新聞によりますと、岡山県及び熊本県におきましては、県が新会社をつくって県に関する諸問題をその新会社にやらせる。岡山県では社団法人相互協力事業団ができておるわけであります。
こういう新会社の案を見ますと、「登記事務処理手続の概要」と称しまして、登記事務全般をこの種のところでおやりになる。
そして承ったところによりますと、県が一カ月のうち二十日くらいを県の職員を嘱託にして出張させて、県職員というようなかっこうでこの司法書士の仕事をやらせてしまう。
十日くらいはおらぬでもその新会社の社員がやっておるというようなやり方で、司法書士法の法の抜け道をくぐろう、こういう計画のように見えるわけであります。
そこで、自治省からおいで願っていると思うのでありますが、まず第一に、これは一体地方自治法上問題がないのだろうかという疑問が、細かい条文は省略いたしますが、あるわけであります。
司法書士を初め数々のこの種の民間の仕事を、県が外郭団体をつくってそこへOBをやって、資格がないなら県の職員、地方公務員の名義を使わせてやるというこの種のやり方が一体妥当であろうか、違法の疑いがありはせぬかという問題を自治省から伺いたい。
それから民事局に対しては、これを含めて農用地利用増進法の政令案の細目が、あなたの傘下にあります司法書士会のただでさえ仕事がないものを取り上げてしまう結果になりはしないかという点について御意見を伺いたい。
また、県の方でも、将来の委託につきましても民業圧迫にならないような方法で行うよう十分注意をしたいと申しておりますので、御了承いただきたいと思います。
これをごらんになったか知らぬけれども、「登記事務処理手続の概要」といって、岡山県が社団法人の〇〇協会に渡す手続を全部書いてあるのですよ。だから、県がやっているものを持っていくのだから差し支えないじゃないか、おまえらの仕事を取り上げたことにならないと言うのだけれども、持っていってそこの協会でやらせるのですよ。これをごらんになりながら物を言ってちょうだい。
なお、どこまで仕事をすれば司法書士等の民業と抵触するのかという点につきましては、法律所管の省にお尋ねをいただきたいと思います。
見ずに物を言っておってだめじゃないか、せっかくやったのに。
でありますから、本来ならば、その登記は事業者であります市町村が嘱託をするということを原則にしてもいいわけでありますけれども、交換分合とは若干違うという点もございますので、ただいま御指摘の政令におきましては、当事者本人による申請を原則として、そして市町村の嘱託を例外的に認めておる。事業の当初から深くかかわり合いを持ってまいりました市町村において、やはり当事者が求めれば、最後まで、登記までめんどうを見るという形が好ましい形ではないかということで考えておるわけでございます。
なお、それによります司法書士等の業務に対する影響につきましては、司法書士が市町村の嘱託をさらに代理をして、そして嘱託をするというような方法もあるわけでありまして、公共嘱託を司法書士が受託をするということについては、司法書士会においても拡大について非常に力を入れておられるわけでありまして、私どもその方向に賛成で協力を申し上げておるわけでありますから、そういう方面で解決をしてまいりたいと考えております。
それから、岡山県の事業団、協会の問題でありますけれども、新聞等によりまして私どもごく最近その概略を承知いたしたわけでありまして、若干問題になる点もあるやに考えまして、ただいま現地の法務局において実態を調査をいたしております。
その調査結果を踏まえて検討いたしたい、こういうふうに考えております。