S60/04/12 衆議院 法務委員会
特認ネタと、法務局の接客ネタの2本立て。
この2つが絡んでいたりする。
しかし、絡みが足りない。
○日野委員 私はどうもそうなってほしいという願望の点はよくわかりますが、なかなかこれは難しいことではないかなという感想をぬぐい切れないのですわ、なせそんなことを考えるかというと、私の気持ちの中にいろいろひっかかりになるところがあるわけです。
それで、ぎとぎとした部分の二、三をちょっと伺っておきたいと思うのです。
例えば司法書士の試験がございますね。
これは今国家試験で非常に難しい試験でございます。
我々なんか今受けたって到底受かりそうもないような難しい試験でございまして、そこを突破してこられた方の努力というものは大変なものだし、資質というものも大変なものだろうと私かねがね尊敬をしているわけでございますが、一方特認というのがございますね。
十年以上法務局だとか検察庁だとか裁判所で仕事をした人は特認制度というのがあるわけです。
私これを見ておりまして、これも一つは法務局あたりの権益意識といいますか、そういうものがあるのではないかと思いますけれども、どうも法務局で仕事をした人はよく受かるのだが裁判所の方からはさっぱり出てこない、受かってこないというようなことを耳にもするし、私の実感としてもそんなことがあるのですが、この特認の方々は、どういう試験をしておられるのですか。全く平等に試験、考査がなされておりますか。
○枇杷田政府委員 これは一律の統一的な試験を実施いたしておるわけではございませんで、個別にその経歴とかいうものを見ながら試験をいたしておるわけでございます。
それで、裁判所系統の方々の特認の数が少ないというのは、結果的にはそういうことが言えようかと思いますけれども、裁判所の方の要するに司法書士の特別認可をもらおうという方が法務局よりはもともと出発点から少ないということもございます。
それからもう一つは、司法書士の仕事は広範囲にわたりますけれども、大部分の仕事が登記でございます。
したがいまして、そういう登記の仕事についての能力があるかどうかというふうなことの試験になりますと、裁判所の方は若干不利がある。
何十年も登記を専門にやってきたという者に比べますと不利があるということの結果でございまして、特に私どもの方がどろどろしたような形でのへんぱなというふうなつもりではおりません。
もう一つ、これは余り私の方も聞くのを快しとしないわけですが、ひところ法務局の窓口の客扱いが非常に悪いということで行管あたりから指摘を受けたことがございましたね。
この点はその後改まっておりますか。
私、二、三の人に聞いてみると、いや、前のとおりですよ、こういうことですが、いかがでしょう。
これはいろいろな事情があるわけでございますけれども、基本的な問題は、法務局側の方の人的、物的な条件が十分にそろっていない、そこに大勢のお客さんがおいでになるということが解消しないと根本的には直らないだろうという考え方を持っております。
したがいまして、そういうものを抜本的に改善するためには、まず現在の登記制度を根本的に改めていく必要があるだろうということで、コンピューター化を進めなければいけないということで過日、この委員会でもそのための法律案を御審議いただいたわけであります。
それからもう一つは、財政的に、そういうコンピューター化を進めるばかりでなくて、施設をよくし窓口の状態をよくするというようなことをするための予算をきちんと確保しなければいけないということがございます。
そのために、昭和六十年度におきましては登記特別会計というものが創設され、またその裏づけとなる登記特別会計法がこの国会に提出されておるわけであります。
そういうものが一方で基盤として整備をされて、その上で職員の心構えをもう一度しっかりとしてもらって、そして体制をつくっていくというふうな努力をこれから積み重ねていかなければならないものだと思います。
根本的な原因が過重負担というところにあると私は思いますので、一朝一夕に直るというものではございませんが、私は逐次よくなっていくと思います。また現に、窓口の職員はワーストワンという評価を受けたことは大変ショックに思っておりまして、何とか汚名を晴らしたいというつもりでは努力をしておりますので、私は現時点においても改善された窓口が少なからずあるだろうとは思いますが、しかし一挙に改善するという状況下にはない。
客観的に申し上げまして、そういうことは急速には、私自身の立場からしても現場に望み得ないという状況下にあることを御了解いただければ幸いでございます。
忙しいからじゃないのです、あの人たちが接客態度が悪いのは。
私も何回も経験もある。ごく簡単に、実務的にはこうなっているんですよ、こうお書きなさいとちょっと一言指導すればいいのを、それじゃだめ、それじゃだめ、それじゃだめ。何日も何日も通わせる。
裁判所あたりから回っていった登記書類も突き返して、おれは判事が判こ押してきたやつを突っ返してやったんだよと言って威張っている。
こういうところに問題があるのですよ。
忙しかったらちょっと教えたらいいじゃないですか、ここのところはこう書いてきてくださいと。そうなっていないのです。
私は、そういう扱いをしている登記所はむしろ例外的な存在ではないかと思いますけれども、時にそういうような対応の仕方をするという御批判を私も受けたことがございますので、今のお話は、私は事実そういうことを委員が御体験なさったのだろうと思って申しわけなく思いますが、これは繁忙の問題とは違いますので、私どもの方もそういう面については従来から口をやかましくして言っておるところでございますが、全国的な問題から見ますと先ほど申しましたようなところが中心の問題になって、ワーストワンの評価を受けているというふうに認識をしているわけで、個別的には私はやはり態度のよくない職員も残念ながらいる、それについては大いに教育をして、そして改めることはすぐにでもできることでございますので、また改めてそういうことのないような指導は強めてまいりたいと思います。
何でこういう態度をとるのかなということが、私も常々非常に疑問でございます。
また法案に戻りまして、そういう人が試験を通ってきた、司法書士会の方で、そんなことはないかと思うが、あいつには随分いじめられた、いたぶられた、あんな品性の悪い連中は入れない、こうなってきたらどうします。
そういうふうなことがもし、本当に在官時代に極端に悪くて、そういうような者が入ってくれば司法書士の信用、品位を害するのだということですと、それは拒否事由にもなります。私どもの方としては、大勢職員がございますから、しっけが十分できていないものもあるということは認めざるを得ないわけでありますが、しかしそんなような状態の職員は、絶無と言えるかどうかわかりませんが、まずいないのじゃないか。
応対は悪くても、そんなに根っからの悪い職員はいないと私は信じておりますので、そういう事態はないであろうと思います。
ワーストワンに法務局の職員がなるなんて、そんなことはいかぬのですよ。法律を実現していく一つの場ですから、法務局などというのは。
そこのところだけでも大臣、御感想はいかがですか、今のやりとりを聞いておられて。
そういう仕事を円滑に進めていくために我々の出先でも非常に苦労して仕事をやらしていただいておる。
そういう場合に、司法書士なりあるいは土地家屋調査士の皆さん方にやはりその道のエキスパートになっていただいてうまく仕事を運行していこうというような気持ちで、一体のつもりで今日まで運用してきているのではないかと私は思っておるわけでございますけれども、今いろいろなお話をお聞きしまして、ある意味ではまことに背筋の寒いような思いをしておるわけでございます。
しかし、考え方としては、時代もどんどん変わっておりますし、そういう問題を解決するために、ともかくいろいろなことがありましたけれども、ことしはコンピューターを中心にする登記の特別会計というものをつくっていただいたわけでございますし、またそういう環境の中でこれはにわかに解決する話ではないかもしれませんけれども、行く朱としては、登記の仕事その他を十分うまく運行させるような方向で事柄を考えていきたいと思っておるわけでございます。
いずれにしても、そういう御批判がありましたような状況であることは十二分、我々は承知をしてかからなければならぬわけでございます。
今回の改正は、そういうことを前提といたしましても司法書士あるいは土地家屋調査士の皆さん方に登録事務をやっていただく。
その原因は、とり方によってはあるいは臨調の話があったからというようなことかもしれませんけれども、もっと前からもいろいろな議論があり、またいろいろなよその制度というようなことも参考にしながら登録事務をともかく移譲するというような形に相なったわけでございます。
私はやはり、そういうことを通じまして、それぞれの連合会あるいはそれぞれの会におきまして的確に責任を持った処理をしていただくというようなお気持ちになっていただきたいと思うし、またそういう存在を前提として我々の仕事の立て方も考えていかなければいけないのではないかと思っておるわけでございます。
また、法務省の仕事自体がどちらかというと受け身の仕事であるわけでございまして、そういうことに関連して最後の責任を我々自身が背負わなければならぬというようなこともあるかと思いますけれども、それなりに余り外にはみ出たような形じゃなしに、いろいろな手続等についても、省略その他のことはできることは取り入れようというような考え方で対処しているわけでございます。
また、これは質問にはなかったところでありますけれども、公共の嘱託登記というような問題につきましても、これは業界でもやはりなかなかその分野を開拓していくということは大変な使命だというふうに思っておるわけでございまして、これを法人化することによってその分野を上手に開いていく努力をしていただく、そういう中で司法書士会なりあるいは土地家屋調査士会なりの中の状態というものも十分共感を持って働けるような素地をつくる一つのポイントになるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
そういうことでございますので、ひとつこの法案についてよろしく御審議をいただきますとともに、我々自身も今御指摘のありましたようなところを十分心にとめまして、やはり民間の皆さん方の権利保全というような重要な役割を担っておる窓口でございますから、それに即応した考え方で対応するように努力をしていかなければいけないし、また、そういうことについては篤と私たちもそういう意識を職員の皆さん方に浸透させていくために努力をしていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。